宮古島ではヤシガニに出会えるチャンスがあります。
ヤシガニは、日本では屋久島よりも南の沖縄地方にしか生息していない生き物です。
ヤシガニは宮古島の郷土料理でも使われてきた食材なので、ヤシガニ料理を出しているお店もあります。
ただし、ヤシガニを探すときや食べるときには注意点がありますので、この記事で詳しく解説していきます。
宮古島に生息するヤシガニとは
ヤシガニとは、軟甲綱十脚目(エビ目)オカヤドカリ科に分類されるヤドカリの一種です。
カニという名前がついていますが、実際にはヤドカリの仲間となっています。
宮古島のヤシガニ
ヤシガニは、絶滅危惧種II類に分類されている希少な生き物です。
絶滅危惧種II類とは、レッドリストに掲載されている種のうち、IA類やIB類ほどではないものの、絶滅の危機が増大している種の分類です。
ヤシガニの他にもアオウミガメ、アホウドリ、イモリなどさまざまな種が絶滅危惧種II類に指定されています。
一方、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、ジュゴン、ラッコなどは絶滅危惧種IAまたはIBに分類されています。
ヤシガニは絶滅危惧種II類に属しているため、出会える確率が低い生き物です。
物珍しさから、宮古島で運試しを兼ねてヤシガニ探しを楽しむ人も多くいます。
ヤシガニの生態
ヤシガニは普段、岩の間や地面に掘った穴の中に棲んでいます。
夜行性なので昼間は住処に隠れてジッとして、夜になればエサを求めて動き出します。
ヤシガニは繁殖期に交尾をし、体内で卵を抱えたまま2~3ヶ月後にゾエアと呼ばれる孵化後の幼生を海中で放出します。
海中に放出されたゾエアのうち、約28日間、天敵に捕食されなかったものが陸に戻り、ヤシガニとして成長していきます。
ヤシガニの大きさ
ヤシガニが注目されているもう一つの理由は、ヤドカリとは思えないほど大きく成長することです。
ヤシガニは体長40cmほどまで成長することが知られており、脚を含めると1m以上になることもあります。
カニなどの節足動物の中では最大クラスのサイズなので、実物を見つけたときに圧倒される人も多くいます。
ヤシガニの寿命
ヤシガニはとても長生きなことで知られ、平均的な寿命は約50年です。
オスの方が体の成長が早く11年前後で体長40cmに到達し、メスの場合は25年ほどかけて40cmの大型ヤシガニに成長します。
ヤシガニ保護条例とは
ヤシガニが絶滅危惧種II類に分類されていることを受け、行政は保護を推進する方針を立てています。
宮古島では平成23年にヤシガニ保護条例が可決され、翌年1月に公布・施行されました。
ヤシガニ保護条例は、ヤシガニを宮古島に生息する貴重な野生生物として位置付け、将来の共有資産として継承することを目的としています。
具体的には、保護区域内でのヤシガニの捕獲を年間を通して禁止し、保護区域外でも6月~8月の繁殖期には原則として捕獲を禁止すると定めました。
また、繁殖期後に卵を抱えているメス、甲長8cm未満あるいは甲長12cm以上のヤシガニの捕獲も禁止されています。
違反した場合には10万円以下の罰金というペナルティも設けられ、種の保存を目的とした厳格な条例となっています。
宮古島でヤシガニに出会うコツ
宮古島でヤシガニに出会えるかどうかは運に左右されますが、コツを押さえておくと出会える確率が高くなります。
以下の3つのポイントを重視してみましょう。
ヤシガニのシーズンに宮古島を訪れる
ヤシガニの活動が活発になり、住処から出てくる時期であれば出会える可能性が上がります。
ヤシガニは、繁殖期とゾエアを放出する時期に活動が活発になります。
特に繁殖が活発になる7月~8月の夏のシーズンと、受精したメスがゾエアを放出する10月~11月の秋のシーズンが狙い目です。
春や冬にはヤシガニを見つけるのが難しいため、ヤシガニに出会いたい場合は、夏~秋に宮古島旅行を計画するのがよいでしょう。
ヤシガニがいるポイントを知る
ヤシガニは陸上で生活しているため、正確な生息場所を特定するのは難しいです。
地中にいることも多く、必ずヤシガニに出会えるという場所はありません。
ただし、夏~秋には水中で繁殖活動をしたり、ゾエアを放出したりするため、海辺の近くにいることが多いです。
砂浜が広がるビーチで、周辺に岩場や雑木林がある場所はヤシガニに出会える可能性があります。
また、ヤシガニはアダンの実を好んで食べるので、アダンが生えている場所もポイントの一つです。
ヤシガニが活動する時間帯を選ぶ
ヤシガニは夜行性なので、暗くならないとなかなか見つかりません。
宮古島では、目安として20時以降を狙ってヤシガニ探しをするのがよいでしょう。
晴れ続きの日よりも雨が降って湿気が多い時の方が、ヤシガニは活発に活動します。
夕立があった日の夜は、ヤシガニに出会えるチャンスです。
ヤシガニと出会う・食べるときの注意点
宮古島では、生きているヤシガニに出会うこともありますし、飲食店で調理されたものを食すこともできます。
ヤシガニを目的として宮古島観光をする際には注意点があるので、しっかりと押さえておきましょう。
ヤシガニを捕獲しない
ヤシガニに出会えたとしても、決して捕獲してはいけません。
宮古島では一般の人による捕獲が禁止されているため、保護区域外であっても処罰の対象となります。
美しいヤシガニを見つけて、つい持って帰りたくなるかもしれませんが、条例に違反してしまうため観察するだけに留めましょう。
ヤシガニには触らない
ヤシガニを見つけたときには、触ってみたくなるかもしれません。
しかし、ヤシガニは強力なハサミを持っているのでとても危険です。
ヤシガニが持つハサミは、アダンの実やヤシの実を簡単に砕く力があるので、もし指を挟まれると大怪我につながります。
基本的に刺激を与えなければ攻撃されることはないので、ヤシガニには触らないで見るだけにしておきましょう。
安全に調理されたヤシガニを食べる
ヤシガニを食べたいと思ったときには、安全に調理されたものを選びましょう。
ヤシガニは雑食性で時には腐った物も食べるため、消化管内に食中毒の原因となる毒素や細菌、ウイルスなどが存在している可能性があります。
実際にヤシガニを食べて中毒になり、亡くなったというケースもあります。
特に消化管内には毒素等が存在する可能性があるため、内臓を食べるのは危険です。
ヤシガニを熟知している飲食店で食べるようにしましょう。
ヤシガニには旬がある
ヤシガニの美味しさを堪能したいなら、旬の時期に宮古島を訪れましょう。
ヤシガニの旬は産卵期が終わった秋です。夏は禁漁期間になっていてヤシガニは獲れませんが、旬の時期になると漁が解禁されます。
旬の時期を逃すと、飲食店で食べられないこともあります。
秋から冬のシーズンは、ヤシガニの在庫が豊富で美味しい時期なのでおすすめです。
宮古島でヤシガニに出会える人気スポット7選
ここでは、宮古島でヤシガニに出会える有名な人気スポットをまとめました。
それぞれのスポットの特徴も紹介するので、ヤシガニを探すときの参考にしてみてください。
保良泉ビーチ
保良泉ビーチは、宮古島で人気のビーチの一つです。
シュノーケリングのスポットとして人気があるだけでなく、近くに鍾乳洞があるためケイビングでも注目されています。
保良泉ビーチにはヤシガニの好物であるアダンが多いため、ヤシガニとの遭遇率が高い場所として知られています。
昼間にもヤシガニを見つけられたという報告があるので、ビーチ周辺を散策すればヤシガニに出会えるかもしれません。
砂山ビーチ
砂山ビーチは、さらさらの美しい砂浜が広がる宮古島屈指の観光スポットです。
砂山や岩のアーチが美しく風景を彩るビーチで、写真撮影の場所としても人気があります。
駐車場からビーチへ向かう道や、砂山の頂上に向かう雑木林の中がよく発見されているポイントです。
たとえヤシガニに出会えなかったとしても、夕方から夜にかけての幻想的な風景を満喫できるおすすめビーチです。
新城海岸
新城海岸は宮古島で一、二を争う人気のシュノーケリングスポットです。
熱帯魚によって彩られた美しい海岸として知られ、サンゴ礁が広がった澄んだ水の美しい海中景観を満喫できます。
新城海岸は、ヤシガニツアーが行われていることが多いので、よく見つかるポイントと言えるでしょう。
間那津海岸
間那津海岸は宮古島のシークレットビーチで、知る人ぞ知る景勝地です。
繁忙期でもあまり混雑しないため、ゆったりとした時間を過ごせます。
間那津海岸はヤシガニの保護区に指定されているため、大型のヤシガニの出没率が高いスポットとして注目されています。
夜にヤシガニ探しに出かけると、驚くようなサイズのヤシガニに出会える可能性があります。
長崎浜
長崎浜は、宮古島から来間大橋を渡って行ける来間島にあるビーチです。
長崎浜は宮古島のビーチに比べると人が少なく、星空観察で人気のスポットとして知られています。
長崎浜のビーチ周辺ではヤシガニに遭遇したという報告が多く寄せられています。
美しい星空の下、流れ星に願いをかけながらヤシガニを探すのも面白いかもしれません。
ホテルブリーズベイマリーナ
ホテルブリーズベイマリーナは、目の前にビーチが広がる人気のリゾートホテルです。
ホテルの敷地内には自然散策ができるエリアが用意されていて、宮古島のさまざまな生き物と出会えます。
ガイド付きのツアーが用意されているため、案内を受けながらヤシガニ探しができます。
ホテルブリーズベイマリーナでは、昼間はマリンスポーツを楽しみ、夜はヤシガニ探しの探検ツアーに参加するのがおすすめの過ごし方です。
博愛漁港
博愛漁港は、宮古島の漁船が停泊している地元の漁港で、釣りのポイントとしても人気があります。
漁港で釣りをしている最中にヤシガニに出会うことはありませんが、周辺を夜に散策すると遭遇できる可能性があります。
博愛漁港はホテルブリーズベイマリーナのすぐ東側に位置し、ヤシガニツアーでもよく選ばれています。
宮古島でヤシガニを食べられるおすすめ飲食店3選
ヤシガニは希少価値が高いため、地元でもヤシガニ料理を提供している飲食店は限られています。
どうしてもヤシガニが食べたいという方に向けて、美味しいヤシガニ料理を堪能できるおすすめの飲食店を紹介します。
魚宮
魚宮は、宮古島の郷土料理で人気の高い割烹料理店です。
ヤシガニ料理を出すお店として有名で、ヤシガニの在庫が豊富な時期には、重さを指定して注文できます。
宮古島で獲れた海の幸から宮古牛まで、宮古のグルメが一挙に堪能できるお店です。
店名 | 割烹 魚宮楽尚 |
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住所 | 〒906-0006 沖縄県宮古島市平良西仲宗根3−1 |
電話 | 0980-72-7824 |
営業時間 | 17:00~20:00 |
定休日 | 木曜日 |
海鮮 悟空
海鮮 悟空は、パイナガマビーチのすぐ近くにある海鮮料理が自慢の居酒屋です。
茹でヤシガニはサイズによって時価で提供されています。
海鮮 悟空では、宮古島の地元で獲れた新鮮な海鮮料理だけでなく、宮古牛のにぎりやステーキも用意されているので、宮古島の地元グルメを堪能したいときにもおすすめです。
ビールだけでなく泡盛もサーバーで提供しているため、お酒好きの人からも支持されている人気店です。
店名 | 海鮮悟空 |
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住所 | 〒906-0013 沖縄県宮古島市平良下里246番地 |
電話 | 0980-72-0897 |
営業時間 | 11:30~13:30, 17:15~21:00 |
定休日 | 火曜日、水曜日 |
すえひろ
すえひろは新鮮な海鮮料理を提供し、地元でも人気のある大衆居酒屋です。
ヤシガニ料理も得意としており、仕入れたヤシガニを数量限定で提供しています。
リーズナブルにヤシガニを味わえるお店として人気です。
店名 | すえひろ |
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住所 | 〒906-0008 沖縄県宮古島市平良荷川取133−1 |
電話 | 0980-72-3099 |
営業時間 | 記載なし |
定休日 | 記載なし |
まとめ
宮古島でヤシガニと出会える?探すときの注意点や食べられるお店をご紹介についてお話ししましたが、いかがだったでしょうか?
絶滅危惧種II類に指定されているヤシガニは、条例によって保護の対象となっています。
一般の人には捕獲が禁止されているので、出会った際はあくまでも観察を楽しみましょう。
ヤシガニ料理を味わいたい場合は、繁殖期が終わり禁漁が解除される秋に宮古島を訪れると、美味しいヤシガニを堪能できます。
宮古島旅行の計画を立てる際には、ヤシガニとの出会いも組み込んでみてはいかがでしょうか。
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